新しいマーケティング戦略「シェアリング」と「リカーリング」

こんにちは、シンヤです!
今回は新しいマーケティング戦略「シェアリング」と「リカーリング」というテーマでお話しします。
「シェアリング」と「リカーリング」とは?
- シェアリング
- 持ち物を誰かに貸し出すサービス
- リカーリング
- 繰り返し利用されることを前提としているサービス
一般的に、
- シェアリング
- シェアリングエコノミー
- リカーリング
- リカーリングレベニュー
と言われることが多いので、名称を上記で統一いたします。
「シェアリングエコノミー」とは
モノを買わずに「借りる」「共有する」という考え方です。
モノを所有せず生活することを目指す「ミニマリスト」を中心に、広がっています。
代表的なサービスだと、空き家を民泊として貸し出す「Airbnb」や、空き時間を車の運転手として貸し出す「Uber」があります。
「シェアリングエコノミー」の利点
最も優れた利点は下記だと僕は思います。
人口減少の時代にマッチしたサービス内容
これから先、人工減少は不可避です。
人は毎年減り続けます。
しかしそれとは反して、モノは作られ続けています。
つまり人の数に比例して、モノが多くなってくるということです。
「モノが溢れ続ける人口減少時代」に突入すると、モノが売れ辛くなります。
モノが溢れる時代を予見して成功したサービスは「メルカリ」だと思います。
「シェア」という形ではありませんが、使わないものを求めている人に届けています。
モノが溢れ売れ辛くなると、
- 売り手:売れ残りを貸し出したい
- 買い手:余計な物を買いたくない
という考えになると思います。
シェアリングエコノミーは、売り手・買い手双方とも「ニーズが急増するサービス」と僕は予想しています。
「シェアリングエコノミー」のその他の利点
主に以下の通りです。
売り手
- 初期費用があまりかからない
- 使っていない所有物を「金融資産」に変えられる
買い手とマッチングしたら幾らかの料金を支払うことが多いので、初期費用は安く抑えられます。
需要が高いモノの場合、継続的に資産を生み出してくれます(「遊休資産」といいます)。
買い手
- 移住スペースを小さくできる
- 節約できる
特に東京は家賃が高いので、モノを少なくして移住スペースを節約できるのは大きなメリットです。
必要なものを必要な時だけ借りるので、お金も節約できます。
シェア(共有)の概念は昔からある
シェア(共有)自体は昔からあったと思います。
例えば「賃貸物件」も物件の共有だし「ヒッチハイク」や「ルームシェア」などもありました。
遥か古くから「井戸水」や「銭湯」など、行政や個人が作った施設を共有する文化はありました。
日本人は昔から「何かを他人と共有する」という人生を送っていたと思います。
個人でシェアがかんたんにできるようになった
現代では日常的にWebサービスを使う時代になりました。
「シェア(共有)」も、Webサービスを使って個人がかんたんにできるようになりました。
テクノロジーを活用して、個人と個人がかんたんに繋がれる時代になりました。
インターネットがもたらした「産業革命」の一つです。
シェアだけでなく、今後もあらゆるWebサービスを使って、個人同士がかんたんに繋がれる時代になると思います。
東京の人口一極集中から、地方への人口分散が可能になる
東京から地方へ移住する人が増えています。
モノを持たない生活が実現するシェアリングエコノミーも、地方への人口分散を加速させると思っています。
モノを所有せずシェアされ合う時代が実現すれば、地方でも「充実したモノ」を使うことができます。
現時点ではまだ「地方でのモノのシェア」はそれほど普及してないように思います。
僕個人の予測ですが、地方の場合「車」からシェアされると思います。
移住した手の人は車を持っていない事が多いので、まず地方移住者から「車のシェアリングエコノミー」を使うと思います。
「シェアリングエコノミー」の代表的なサービス
BIZcomfort |
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24時間365日使えるコワーキングスペースを提供するサービスです。 |
airRoom |
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おしゃれな家具を定額でレンタルできるサービスです。 |
LUUP |
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電動自転車やキックボードを定額でレンタルできたり、余った駐車スペースを貸し出せるサービスです。 |
Anyca |
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使っていない自動車を貸し出せるサービスです。 |
「リカーリングレベニュー」とは
買い切りではなく、主に毎月一定の料金を支払ってサービスを提供する料金形態です。
リカーリングレベニューとは「繰り延べ収益」という意味です。
代表的なサービスだと、サブスクリプションを導入している「Netflix」や「Spotify」があります。
「リカーリングレベニュー」の利点
主に以下だと考えています。
顧客と事業者が、長期的な関係を築ける
売り上げが予測できるので、未来を見据えた先行投資ができる
これだけだとわかりづらいので、詳しく解説します。
顧客と事業者が、長期的な関係を築ける
「買い切り型」だった従来の売り方と違い、リカーリングレベニューは顧客との関係が永続的に続きます。
一度売ったら終わりではないのです。
顧客満足度を高めるために、更にサービスを改善する必要もあります。
サービス解約後も顧客の情報は手元に残るので、友好的な関係を継続的に築き続ける必要があります。
従来の「買い切り型」の売り方だったら、一度商品を売ってしまえばよかったのです。
ですが「繰り延べ収益」の売り方は、売った後どのように顧客満足度を高め続けていくかが鍵です。
売り上げが予測できるので、未来を見据えた先行投資ができる
「繰り延べ」の売り方の場合、
- サービス新規加入数
- チャーンレート(解約率)
この2つさえわかれば、半年・1年後の収益を予測することができます。
つまり、未来を見据えた大きな先行投資ができるのです。
だからNetflixは、独自コンテンツに莫大な制作費用をかけられるのです。
顧客がどの番組から契約したのかを把握しているので、半年・1年後の売り上げ予測で投資金額を回収できると予測できるのです。
「リカーリングレベニュー」のその他の利点
下記の通りです。
買い手
- 支出の管理がしやすい
- 違約金がないので簡単に解約できる
- 自分が欲しい機能だけ選べる
売り手
- 顧客と長期的な関係を結ぶので、後々販促費が激減する
- 口コミで拡散されやすい
- インサイト(無意識の)データが蓄積される
「リカーリングレベニュー」は双方に利点がないと成立しないので「WinWin」の関係性が構築されないと成り立ちません。
「サブスクリプション」の定義
毎月一定の課金をするサービスとしか認識されていませんが、サブスクリプションの定義はもっと幅広いです。
毎月一定課金は「リカーリングレベニュー」ですね。
では「サブスクリプションの定義」とは何かというと、具体的には以下の2つに集約されます。
- 楽になる
- 常にサービスを改善し続ける
Netflixで例えると、
- 楽になる
- 毎月定額で作品をネットで見るだけというビジネスモデルのおかげで、DVDを返却せずに済むようになった
- 常にサービスを改善し続ける
- 収益予測からオリジナルコンテンツを作成し、新規顧客を増やし続け、Web・アプリ両方とも改善し続けている
という感じです。
繰り延べ収益 = サブスクリプションではないのです。
サブスクリプションは、顧客からの要望を分析し続け、仮説を構築し続け、サービスを磨き続けていきます。
プロダクトは完成することがない「永遠のβ(ベータ)版」なのです。
サブスクリプションで最も重要なのは「CRM」と「LTV」
- CRM(顧客関係管理)
- 顧客と長期的な関係を築くことを前提に、主にインバウンドマーケティングを最適化すること
- LTV(顧客生涯価値)
- 顧客から生涯を通じて得られる利益
どちらも、
- 売り切り型ではなく「繰り延べ型」
- 商品購入後やサービス解約後も顧客との関係が続く
だからこそ重要視される指標です。
サブスクリプションは顧客との取引は一度限りではないので、いかに長く顧客と良好な関係を築けるかが鍵なのです。
「毎月定額でサービスを提供する」だけのビジネスモデルがサブスクリプションだと考えると、失敗します。
買い切り型の売り方の思考から抜け出す必要があるのです。
「PV × CTR × CVR」の黄金比が通用しない売り方
上記の方程式は、Webメディア・買い切り型のWebプロダクトを成功させるための黄金比と言われています。
- PV:ページビュー
- ページが見られた数
- CTR:クリック率
- アフィリエイトのリンクや、会員登録へのボタンなど、施策で重要な動線となるボタンのクリック率
- CVR:成約率
- 「商品購入数」や「会員登録数」など、施策に対して追うべき成果が、どれだけ達成されたかの比率
つまり、
- ページをなるべく多くの人に見せて
- 記事内のボタンをクリックしてもらって
- 商品を買ってもらったり、会員登録をしてもらう
というのが、ネット事業で売り上げを伸ばすセオリーでした。
ところがサブスクリプションの場合、この方程式が覆ります。
会員登録してもらっても退会されたら意味がなく、買い切り型ではないので商品自体がない。
これまでと異なり、
- 平均滞在時間
- セッション
- 離脱率
- 解約率
などがKPI(業績指標)となる可能性もあります。
「リカーリングレベニュー」の代表的なサービス
トイサブ |
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おもちゃを定額で借りれるサービスです。 |
GeForceNOW Powered by SoftBank |
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どのパソコンでもゲームができるようになる、クラウドゲームサービスです。 |
ウェブカツ |
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月額8,700円で、様々なプログラミング言語が学べます。 |
プリント革命 |
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初期費用0円で、欲しいプランの料金を払えば、月々定額で紙のプリントができます。 |
「リース」はサブスクリプションではない
昨今車のリースのサービスがあります。
月額定額支払う代わりに、保険料や税金込みで新車が乗れるサービスです。
これだけ聞くとサブスクリプションに近いですが、リースにはサブスクリプションにはない決定的な欠点があります。
それは・・・
契約期間がある
契約期間があるということは、満了時以外で解約すると違約金を取られ、解約できない場合もあります。
サブスクリプションは、顧客との長期的な関係を築くのが前提条件としてあるので、契約期間や違約金を儲けてはいけません。
顧客に嫌な思いをさせてはいけないのです。
解約時に顧客に不利な条件がある場合は、サブスクリプションには含まれません。
「所有」から「体験」の時代になる
私たちはモノを「所有」することではなく、モノ通して得られる「体験」が欲しいのです。
冷蔵庫であれば「食べ物を冷やす」体験、パソコンなら「仕事を便利にする」体験。
モノ自体に価値がなくて「モノから得られる付加価値」に目を向けられる時代になったのだと思います。
だからこそ、シェアリングエコノミーやリカーリングレベニューが流行り出しているのだと思います。
「MaaS」の時代になっていく
MaaSとは「Mobility as a Service」の略称です。
テクノロジーを駆使して、バスや電車などの公共交通機関の移動を便利にしようという試みです。
すでに日本国外では積極的に運用が開始されています。
その一つが「乗り物のサブスクリプション化」です。
すでにポルシェは月額2100$であらゆる車種乗り放題のサービスをリリースしています。
Uberでも試験的に月額乗り放題のサービスを提供しています。
日本ではまだMaaSは本格的に取り組まれてはいません。
いずれ日本でも本格的に取り入れられることを願っています。
まとめ
- 今後は「シェアリング」と「リカーリング」のマーケティングが主流になる
- シェアリングエコノミーは、モノを買わずに「借りる」「共有する」サービス
- リカーリングレベニューは、継続的に課金をする「繰り延べ型」のサービス
- モノが溢れている時代なので、シェアが活発化する
- そうなると、都市部の人口一極集中が少なくなる
- リカーリングレベニューは売り切り型とは違い「顧客と長期的な関係を築くこと」が大切
- 「サブスクリプション = リカーリングレベニュー」というわけではない
- 「楽になる」「サービスを改善し続けられる」がサブスクリプションの定義
- サブスクリプションで最も重要なのは「CRM」と「LTV」
- 「リース」はサブスクリプションではない
- 今後は「所有」から「体験」の時代になる
今回は以上になります。
- 新しいマーケティング戦略「シェアリング」と「リカーリング」