【商売】江戸時代の概念「三方良し」が現代でも適用されるか考えてみる

こんにちは、シンヤです!
今回は【商売】江戸時代の概念「三方良し」が現代でも適用されるか考えてみるというテーマでお話しします。
「三方よし」とは
江戸時代に活躍した「近江商人(おうみしょうにん)」が大切にしていた考え方です。
近江とは、現在の「滋賀県」です。
近江商人は合法的で無駄のない商いの仕組みを作りました。
「近江商人が歩いた後には草も生えぬ(無駄なものを嫌う)」と言われたぐらいです。
三方よしの考え方とは、
- 「売り手」よし
- 商品を提供している、売り手が満たされるか
- 「買い手」よし
- 商品を買う、お客様が満たされるか
- 「世間」よし
- 商品を通じて、社会が良くなるか
「三方よし」が現代でも通用するか?
時は「令和」。
果たしてこの教えが、現代でも適用されるのか考えてみることにしました。
理由は主に以下の通りです。
- 情報の流通速度・精度・伝達手段とも劇的に変わった
- 「法人」という概念がなかった
- 「株式」という概念もなかった
1. 情報の流通速度・精度・伝達手段とも劇的に変わった
江戸時代は各土地を「藩」として分けて、大名が統治していました。
藩は都道府県と違い、人が簡単に行き来できるものではありませんでした。
情報の伝達手段も非常に限られてました。
江戸時代の情報伝達手段とは主に、
- 大当番仲間(今でいう「自治体」)
- 定宿仲間(泊りつけの宿屋)
- 質屋・雑貨屋
要約すると、情報の入手手段はほとんど「口コミ」でした。
現代と比較して、情報の伝達手段も極めて少なく、情報の流通速度・精度ともに低いです。
つまり現代と比較して「買い手」が商品の価値を判断できる材料が少なかったのです。
現代では誰でもスマートフォンを使い、自分で情報を調べることができます。
「買い手よし」は当人が決める時代になったと僕は思います。
そして重要なのは「情報を取捨選択して、商品の本質的な価値を見極める力」なのではと、考えています。
2. 「法人」という概念がなかった
そもそも「法人」とはなんでしょうか?
法人とは文字通り「法律で人と同じような権利を与えられたもの全て」になります。
要約すると「一個人と同じ権利を与えられた集合体」となります。
法人は法律で人と同じ権利があればいいので、多種多様な種類があります。
- 会社(株式・合同)
- 宗教法人
- 医療法人
- 社会福祉法人
- 農業組合
- 保険組合
などなどですね。
これは江戸時代には全くなかった考え方です。
法律はありましたが「人と同じ権利を与えられた集合体」という概念がありませんでした。
法律はあくまで「国家・一個人を律し裁くもの」だったと僕は考えています。
これは「江戸時代は現代と比べて、商売をする上での法律の縛りが弱かった」と捉えることもできます。
江戸時代は、本業は農家で副業で別事業をやる人が多くいました。
「百姓」という言葉は、本来は「様々な仕事をする人」という意味です。
江戸時代は仕事をする上で必要な資格もなかったので、農家が医者や薬師を副業で営んでいることもありました。
江戸時代と現代とを比較した場合、考慮しなければならない法律がいくつもあります。
「三方よし」には法律の概念は考えられていないのではと、僕は思っています。
3. 「株式」という概念もなかった
株式というより「会社」という概念自体がありませんでした。
江戸時代は「株式による資金調達手段」がなかったということです。
資金調達をしたいなら「第三者から融資をしてもらう」以外方法はありませんでした。
つまり江戸時代は、商売とは純粋に「発起人のもの」だったのです。
株式がある現代では「株主を満たす」という条件も、商売の重要な指針となると僕は思っています。
「八方よし」という考え方もある
僕と同じ疑問を持った人が居たか居なかったか分かりませんが、三方よしに足りない概念を埋めるための「八方よし」という考え方もあります。
八方よし |
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色分けした区分で、三方よしの考え方を組み込むことも可能です |
江戸時代は現代と比較して、ビジネス上の利害関係者が少なかったです。
情報の精度もビジネスの複雑性も増した現代では、三方よしでは足りないと考えたのです。
「三方よし」は、商売の指針より「大切な心・精神」として捉える
三方よしの考え方は、とても大切であると思います。
「物事を多角的に見る癖」が養われると思います。
アイデアを俯瞰して捉え、分析する際に「三方よし」の精神はとても役立ちます。
しかし実際にビジネスとして落とした場合、複雑性が増した現代では足りないものも多いです。
その為八方よしでビジネスの将来性を分析します。
八方全てが満たされている必要はないと思います。
色分けした区分で、どれか一つでも満たされていればいいと思います。
- 「従業員」「経営者」のどちらかが満たされ
- 「取引先」「顧客」のどちらかが満たされ
- その他に一つでも満たされる要素がある
上記がビジネスを行う上での理想の姿です。
八方全てが満たされていればそれに越したことはありません。
ですが、あまり理想が高くなりすぎてもいけません。
まとめ
- 近江で生まれた「三方よし」という考え方がある
- 商売をする上で大切な要素を言語化したもの
- 内容は「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
- 現代では江戸時代と比較して、ビジネスの利害関係者が増えている
- その為「三方よし」では足りない要素もある
- それを埋めるため「八方よし」という考え方もある
- 八方全てが満たされている必要はない
- 三方よしは「ビジネスを行う上での大切な心・精神」として捉える
今回は以上になります。
- 【商売】江戸時代の概念「三方良し」が現代でも適用されるか考えてみる